スズメバチ
(オオスズメバチ、キイロスズメバチ)
秋はハイキングやキノコ狩り、渓流釣りなどアウトドア趣味が盛んな時期です。この時期、自然の山野で最も気をつけなければならない危険な生物のひとつに「スズメバチ」がいます。
先日も栃木県那須烏山市で77歳の女性がスズメバチに刺されて死亡しました。自宅近くの神社の境内で、自生のミョウガを採っていたと推察されていますが、参道から少し分け入った杉林の中で倒れていました。頭を中心に91箇所も刺されていたそうです。近くにはオオスズメバチの巣がありました。
スズメバチは9月中旬〜10月中旬にかけて交尾の時期を迎え攻撃的になります。巣があるのに気付かないで不用意に近づくと、スズメバチの大群に集中攻撃されることになります。
毎年スズメバチに刺されて死亡する人が30人ほどいます。
クマ(熊)も恐ろしい動物ですが、クマの危害で死亡する人は年間10人未満ですので、ある意味ではクマよりもはるかに危険な生物だと言えます
スズメバチの種類スズメバチは民家の近くや畑、公園、野原、山林などで普通に見られる生物です。バーベキューをしたときに飲み残したジュースを飲みに来ることもあるので、アウトドアを楽しむ人なら何度かお目にかかっているはずです。
このスズメバチですが、日本にはスズメバチ属(7種)、クロスズメバチ属(5種)、ホオナガスズメバチ属(4種)の合計3属16種が生息しています。中でもスズメバチ属のオオスズメバチとキイロスズメバチによる人身事故が最も多く発生しています。
■オオスズメバチ
名前が示すとおりスズメバチ類の中で最も大型のハチです。女王バチで40〜45mm、働きバチでも30〜40mmの大きさになります。強烈な毒をもち、かつ攻撃性も非常に高いことから十分な注意が必要です。
巣は倒木や地面などの閉鎖空間に作られます。そのため、巣を発見するのが難しく、気がつかないで巣に接近して襲撃されることが多いようです。
オオスズメバチは縄張り意識が強く、巣の周辺だけでなく樹液がある餌場においても威嚇行動や攻撃を仕掛けてくることがあるので注意が必要です。
■キイロスズメバチ
比較的小型のハチで、女王バチで25〜30mm、働きバチで20〜25mm程度です。からだの模様の黄色の部位が広く、全身が黄褐色の長毛で覆われているのでほかのスズメバチと区別できます。
巣は樹洞などの閉鎖的な場所から、木の枝などの開放的な場所、さらには民家の軒下や天井裏、床下など様々な場所に作られます。
オオスズメバチと並んで攻撃性が非常に高く、巣の近くを通っただけで攻撃されるともあります。スズメバチ類の刺傷事故では、このキイロスズメバチによるものが最も多く、この意味では最も危険なハチです。
アブラゼミを狩るオオスズメバチ
地中のオオスズメバチの巣(駆除後)
吸蜜するキイロスズメバチ
(写真提供:都市のスズメバチ)4枚とも
軒下に作られたキイロスズメバチの巣
スズメバチの習性スズメバチは、ミツバチと同じようにハチの中でも最も社会性を発達させたハチです。大きな巣を作って、共同で巣を守り、子孫を育てます。
秋に交尾して越冬した女王バチは、種類によって多少のズレはありますが、翌春5月上旬頃から営巣を開始します。最初は女王バチ一匹だけで巣を作り、働きバチ(メス)の卵を産みます。第一世代の働きバチが羽化するのが6月〜7月で、それ以降急速に巣を拡大しながら個体数を増やしていきます。巣の勢力が拡大した8月中旬頃からは、次世代を託すオスバチと少し遅れて新女王バチの卵が産み付けられます。スズメバチにとってはとても大事な時期を迎えます。
産卵から約1ヵ月。オスバチと新女王バチが羽化する9月中旬から10月下旬頃にかけてが、次世代にバトンを渡す繁殖時期になります。
先に羽化したオスバチが巣穴の外で待機して、後から羽化して出てくる新女王バチを待ちます。交尾は巣の外でしますが、無事に仕事を終えた新女王バチは朽木に穴を掘って一匹だけで越冬し、春の営巣に備えます。一方、オスとしての大役を無事に終えたオスバチと、巣を守りきった働き蜂はすべて死んでしまいます。
スズメバチは新女王バチ一匹だけで越冬して、翌春に新しい生命を繋げるのです。
スズメバチによる死亡事故毎年秋になると、日本各地でスズメバチに刺されて死亡する事故が多数発生します。
厚生労働省の人口動態調査によると、ハチに刺されて死亡した人は、1983年から2004年までの22年間では毎年20人〜50人程度にのぼり、平均は34人でした。最も多い年は1984年で、犠牲者数は73人でした。この統計値は「スズメバチ、ジガバチ及びミツバチとの接触」で死亡した人の総数ですが、ほとんどはスズメバチの犠牲者だと考えてもかまいません。
すなわち、スズメバチの襲撃で、年間平均30人強の尊い命が奪われていることになります。
ハチの毒針は産卵管が変化したものなので、刺すのはメスだけです。巣を守る働きバチ(メス)が、外敵を襲撃する役割も担っているのです。
これらの死亡事故は毎年8月〜10月に集中しています。9月が最も多くなります。ちょうどこの時期は、上でも述べたようにスズメバチのコロニーが発展し繁殖期を迎える時期であり、外敵から巣を守るためにコロニー全体がピリピリした緊張状態にあります。
こんな折に人が不用意に巣に近づけば、外敵だと見なされて攻撃を受けるのは、ある意味では当たり前です。
近くにスズメバチが飛んでいないか、威嚇行動をとっていないか、野山に入ったら注意深く観察しながら歩く必要があります。
死亡原因はアレルギー性ショック死(アナフィラキシーショック)スズメバチの毒には強力な溶血作用その他の生理作用があります。ただし数箇所刺されたくらいの毒量では死ぬことはありません。91箇所も刺されれば別ですが、通常、人が死ぬのはほとんどの場合、過剰な抗原抗体反応(免疫反応)に伴うアレルギー性ショック死です。
過去にハチに刺された経験があると、体内にはハチ毒による抗体が作られます。二度目にハチに刺されたときに、稀に抗原(ハチ毒)によるアレルギー反応が生じる人がいます。このアレルギー反応は、発症までの時間が極めて短い即時型反応(T型)で、短時間(数分〜30分以内)のうちにアレルギー症状が表れます。
このうち,呼吸困難や血圧低下などの全身的な反応をアナフィラキシーと呼び、生死に関わる重篤な症状を伴うものをアナフィラキシーショックといいます。症状がでるまでの時間が短いほど重症になる可能性が高く危険です。
スズメバチに刺されないために スズメバチによる刺傷事故は、ほとんどの場合山林やその周辺で起きています。
都市部や民家の周辺では意外に少ないんですが、冒頭の死亡事例のように民家のすぐ近くでも事故は起きていますので、普段の生活でも十分な注意が必要です。山の中では医療機関が近くにないために、手遅れとなるケースもあります。
スズメバチに刺されないためには、何といっても巣に近づかないことが第一です。山中ではスズメバチの巣を目視確認することはなかなか難しいのですが、多くの場合、スズメバチ自身が近くに巣があることを教えてくれます。
・飛んでいるスズメバチを見つけたら飛行コースを良く見きわめてください。
・急に藪の中に入ったらそこに巣がある可能性があります。
・身体の周りをスズメバチが飛び始めたら10m以内に巣があります。すでに危険ゾーンに踏み入れています。
・さらに近づくと、スズメバチが目の前に飛んできて、顎を打ち鳴らして「カチカチ」という警告音・威嚇音を発し ます。この音はスズメバチの最後通告です。この通告なしに突然刺されることもあります。
・1回刺されると次は集中攻撃される可能性があります。直ちにゆっくり後退してその場を離れましょう。警告音が 聞こえた場合も同様です。
・スズメバチを追い払うために手を上げたり、急な動作をしてはいけません。外敵と認識され、それこそスズメバチの大群に集中攻撃されることになります。
スズメバチはミツバチと違って毒針を刺しても死ぬことはありません。毒針はかんたんに抜けて、毒がある限り何度でも刺すことができます。
9月〜10月に秋の山野で活動する場合には十分注意してください。11月ごろまでは気を抜かないことが大切です。
スズメバチに刺されたときの処置スズメバチの外敵は巣を襲って幼虫やサナギを食べる哺乳動物です。熊だという説があります。だから、毛皮の黒い色に攻撃を仕掛けてくるのだとも言われます。
人がスズメバチに刺されるのも、大概の場合は(黒髪がある)頭部です。また青色の服やズボンなどにも反応しますが、複眼のスズメバチには青色が黒っぽく見えるのでしょう。
一方で、黒い色は外敵の急所である目の瞳の色だとの説もあります。そういえば頭部の中でも、とりわけ顔面を刺されることが多いように思われます。
私は子供の頃、アシナガバチの巣にいたずらをしてよく刺されましたが、刺された場所は大概は目の近くでした(瞳を刺されたことはありませんでしたが・・・)
スズメバチの攻撃を避けるためには白い帽子を着用して、服装もできるだけ白っぽい色にしておくほうがいいようです。
さて、スズメバチにさされた場合の処置ですが、次のようにします。
・刺された部位から(可能なら)毒液を素早く絞りだす。
・毒は水溶性なので水で洗い流す。
・すぐに病院に行く。
アレルギーがなければ数箇所刺されたくらいでは問題ありません。ただ、刺傷後早い段階(数分〜30分以内)で全身のじんましん、めまい、意識障害、呼吸困難などのアレルギー症状が見られる場合は危険ですので、できるだけ早く病院に行けるよう最善を尽くさなければなりません。
なお、昔からの民間療法でハチ刺されにはアンモニアが利くというのがありますが、これは真っ赤なウソです。ハチ毒はほぼ中性のため、アンモニア水(アルカリ性)での中和は無意味です。またオシッコをかけるといいとの説もありますが、これも単なるデマ。神話です。不快なだけで何の効果もありません。
スズメバチの誤解
誤解1:スズメバチは一度人を刺したら死ぬ
ミツバチの毒針には,極端に言えば釣針ような「かえし」がついているので,刺した針は腹部の末端もろとも敵の体の残るためハチは死にます。しかしスズメバチの毒針はそうした構造をしておらず,刺した相手から抜けやすく,もちろんハチは死にません。
誤解2:刺されたらアンモニアを塗るとよい
これも「神話」と言ってよいほど根強い誤解ですが,スズメバチの毒液はほとんど中性に近く,アンモニア(アルカリ性)で中和しようとするのは無駄で,氷で冷すほうがよほど効果的です。痛みをやわらげるには抗ヒスタミン剤の内服を。刺されたらすぐ口で毒を吸い出すのもいくらか効果があります。
誤解3:人が刺されて死ぬのはハチ毒成分のせいである
スズメバチによる死亡はほとんどが,アレルギー性のショックによるものです。ハチ毒アレルギー体質の人では,過去に刺されたときに体内にできた,ハチ毒に対する抗体が,2度目に入ったハチ毒に過敏に反応して血圧低下その他の症状を起こし,これが危険なわけです。ハチ毒自体に溶血その他の生理作用があるのは確かですが,1,2か所刺されたくらいの毒量では(たいへん痛いのは確かですが)命に別状ありません。つまり不幸な犠牲者は,ハチ毒そのもののせいでなく,むしろ自分の生理作用のために命を失ったと考える方が正確です。
誤解4:2回以上刺されると危険
いま述べたように,これは全くの誤りではありません。しかしだれもが花粉症にかかるわけではないのと同様,ハチ毒アレルギーを持つ人は人口のごく一部です。通常体質ならば,刺されるほど症状が軽くなることのあります。某スズメバチ研究者は,シーズンはじめにわざと刺されて,「免疫をつけ」ていたそうです。
しかし刺された後で次のような症状が出たらアレルギーショックである恐れが強いのでただちに医師の手当が必要です。全身のじんましん,腹痛,めまい,意識がもうろうまたは不明,呼吸困難など。ハチ毒アレルギーショックで死亡する場合は,刺されてから1時間以内であることが多く,一刻も早く処置しなければなりません。
誤解5:虫よけ(忌避剤)をつければスズメバチはよってこない
虫よけにはスプレータイプや直接皮膚に塗るタイプがありますが,いずれもカ,ブユなど吸血性の虫を防ぐものです。スズメバチは巣に危害を加える外敵に向かってそれこそカミカゼのように捨て身で攻撃をかけてきます。虫よけなど全く役に立ちません。
ただしスズメバチがそばに寄ってきたときの対処の仕方は,場合によります。一般的にいって,攻撃性は巣に近いほど強くなります。これは当然でしょう。基本的には,巣から離れて餌集めなどをしているハチが向こうから攻撃してくることはありません。例えば車にハチが入ってきても,絶対にあわてぬこと。つかみでもしない限り刺しません。落ちついて車を止め,飛び去るのを待てばよいのです。
巣の至近距離に近づくと,偵察バチが敵の回りを飛んで警戒します。このとき敵の正面で大あごをかみ合わせてカチカチという音を発することがあります。なんとも不気味なもので,いうなれば最後通告です。すみやかに,しかしゆっくりと後ろに下がることをお勧めします。手で払えば確実に刺されます。
音によって相手に警告するということは,考えてみると興味深くありませんか。スズメバチの進化の過程において,その主要な敵は,少なくともこうした音を聞くことのできる生物だったと思えるからです。彼らの毒がほ乳類に特異的に痛みを起こす成分を含むことも考えあわせると,スズメバチの主な敵は,巣にいっぱいつまった幼虫をねらうほ乳動物なのでしょう。
誤解6:スズメバチはミツバチの仲間である
両方とも大きな巣を作って暮らしていますが進化の歴史から見ると両者の関係はずいぶん遠いものです。ミツバチは幼虫の餌として,花粉や蜜を与えますが,スズメバチは毛虫やハエなど動物質の餌を与えます。だから,スズメバチは巣に蜜をためることはありません。なおスズメバチの仲間は世界で約60種,日本からは16種が知られています。
話がそれますが,彼らの狩る餌の量がどれくらいなのか,ごく大ざっぱな試算をしてみましょう。スズメバチの大きな巣では,年間約1万頭ほどの働きバチが生産されます。その寿命は平均1か月,野外で働く期間を20日間とします。彼らが1日当たり50頭の餌を狩ったとすると,巣全体の働きバチが年間に狩る餌数は,50×20×10000=一千万。このうち「害虫」の占める割合がどの程度かは,いちがいに言えませんが,捕食性天敵としての彼らの役割を注目させるに足る数字でしょう。
誤解7:スズメバチの巣は翌年また使われる
どんなに大きな巣でも秋になると空になり,翌年再利用されることは,少なくとも日本ではありません。母バチが1頭でまた一から始めるのです。
ちなみにこの母バチがいわゆる女王バチですが,このことばのイメージとは異なり,春先の女王は自分だけで巣作りや子育てをすべてこなします。この時期の巣は小さく,女王は攻撃性がほとんどないので駆除も簡単です。彼女が産卵に専念できるようになるのは,娘である働きバチが羽化する夏以降のことなのです。
ミツバチの毒針には,極端に言えば釣針ような「かえし」がついているので,刺した針は腹部の末端もろとも敵の体の残るためハチは死にます。しかしスズメバチの毒針はそうした構造をしておらず,刺した相手から抜けやすく,もちろんハチは死にません。
誤解2:刺されたらアンモニアを塗るとよい
これも「神話」と言ってよいほど根強い誤解ですが,スズメバチの毒液はほとんど中性に近く,アンモニア(アルカリ性)で中和しようとするのは無駄で,氷で冷すほうがよほど効果的です。痛みをやわらげるには抗ヒスタミン剤の内服を。刺されたらすぐ口で毒を吸い出すのもいくらか効果があります。
誤解3:人が刺されて死ぬのはハチ毒成分のせいである
スズメバチによる死亡はほとんどが,アレルギー性のショックによるものです。ハチ毒アレルギー体質の人では,過去に刺されたときに体内にできた,ハチ毒に対する抗体が,2度目に入ったハチ毒に過敏に反応して血圧低下その他の症状を起こし,これが危険なわけです。ハチ毒自体に溶血その他の生理作用があるのは確かですが,1,2か所刺されたくらいの毒量では(たいへん痛いのは確かですが)命に別状ありません。つまり不幸な犠牲者は,ハチ毒そのもののせいでなく,むしろ自分の生理作用のために命を失ったと考える方が正確です。
誤解4:2回以上刺されると危険
いま述べたように,これは全くの誤りではありません。しかしだれもが花粉症にかかるわけではないのと同様,ハチ毒アレルギーを持つ人は人口のごく一部です。通常体質ならば,刺されるほど症状が軽くなることのあります。某スズメバチ研究者は,シーズンはじめにわざと刺されて,「免疫をつけ」ていたそうです。
しかし刺された後で次のような症状が出たらアレルギーショックである恐れが強いのでただちに医師の手当が必要です。全身のじんましん,腹痛,めまい,意識がもうろうまたは不明,呼吸困難など。ハチ毒アレルギーショックで死亡する場合は,刺されてから1時間以内であることが多く,一刻も早く処置しなければなりません。
誤解5:虫よけ(忌避剤)をつければスズメバチはよってこない
虫よけにはスプレータイプや直接皮膚に塗るタイプがありますが,いずれもカ,ブユなど吸血性の虫を防ぐものです。スズメバチは巣に危害を加える外敵に向かってそれこそカミカゼのように捨て身で攻撃をかけてきます。虫よけなど全く役に立ちません。
ただしスズメバチがそばに寄ってきたときの対処の仕方は,場合によります。一般的にいって,攻撃性は巣に近いほど強くなります。これは当然でしょう。基本的には,巣から離れて餌集めなどをしているハチが向こうから攻撃してくることはありません。例えば車にハチが入ってきても,絶対にあわてぬこと。つかみでもしない限り刺しません。落ちついて車を止め,飛び去るのを待てばよいのです。
巣の至近距離に近づくと,偵察バチが敵の回りを飛んで警戒します。このとき敵の正面で大あごをかみ合わせてカチカチという音を発することがあります。なんとも不気味なもので,いうなれば最後通告です。すみやかに,しかしゆっくりと後ろに下がることをお勧めします。手で払えば確実に刺されます。
音によって相手に警告するということは,考えてみると興味深くありませんか。スズメバチの進化の過程において,その主要な敵は,少なくともこうした音を聞くことのできる生物だったと思えるからです。彼らの毒がほ乳類に特異的に痛みを起こす成分を含むことも考えあわせると,スズメバチの主な敵は,巣にいっぱいつまった幼虫をねらうほ乳動物なのでしょう。
誤解6:スズメバチはミツバチの仲間である
両方とも大きな巣を作って暮らしていますが進化の歴史から見ると両者の関係はずいぶん遠いものです。ミツバチは幼虫の餌として,花粉や蜜を与えますが,スズメバチは毛虫やハエなど動物質の餌を与えます。だから,スズメバチは巣に蜜をためることはありません。なおスズメバチの仲間は世界で約60種,日本からは16種が知られています。
話がそれますが,彼らの狩る餌の量がどれくらいなのか,ごく大ざっぱな試算をしてみましょう。スズメバチの大きな巣では,年間約1万頭ほどの働きバチが生産されます。その寿命は平均1か月,野外で働く期間を20日間とします。彼らが1日当たり50頭の餌を狩ったとすると,巣全体の働きバチが年間に狩る餌数は,50×20×10000=一千万。このうち「害虫」の占める割合がどの程度かは,いちがいに言えませんが,捕食性天敵としての彼らの役割を注目させるに足る数字でしょう。
誤解7:スズメバチの巣は翌年また使われる
どんなに大きな巣でも秋になると空になり,翌年再利用されることは,少なくとも日本ではありません。母バチが1頭でまた一から始めるのです。
ちなみにこの母バチがいわゆる女王バチですが,このことばのイメージとは異なり,春先の女王は自分だけで巣作りや子育てをすべてこなします。この時期の巣は小さく,女王は攻撃性がほとんどないので駆除も簡単です。彼女が産卵に専念できるようになるのは,娘である働きバチが羽化する夏以降のことなのです。
オオスズメバチは危険
最も恐ろしいのは、刺された人が「アナフィラキーショック」を起こして死亡することがあるからです。これは一種の抗原抗体反応(アレルギー反応)です。最初に刺されたとき、その毒(タンパク質の一種)に対する抗体が体の中にできるため、次に刺されたときに、毒(抗原)に抗体が激しく反応して強いショック症状を起こします。治療が遅れると死亡します。たった1匹に刺されただけでも死に至ることがあるのです。最近の新聞に、1匹のアシナガバチに刺されただけで70歳の人が死亡したとありました。これもアナフィラキーショックのせいです。オオスズメバチの毒はアシナガバチのものよりずっと強力なので、危険性もより高いのです。
抗体ができていなくても、毒がとても強力なので、刺されたところがパンパンに腫れあがり非常に痛みます。内臓などへの影響も小さくありません。巣を守ろうと集団で攻撃してくるハチに何ヶ所も刺されると、それだけで命の危険があります。
抗体ができていなくても、毒がとても強力なので、刺されたところがパンパンに腫れあがり非常に痛みます。内臓などへの影響も小さくありません。巣を守ろうと集団で攻撃してくるハチに何ヶ所も刺されると、それだけで命の危険があります。


















